1999年の夏休み
[1988年・監督/金子修介■おすすめ度★★★★★ 観ておくべき度★★★ 思い入れ度★★★★★★]
個人的に、平成ガメラ三部作よりも本作が金子修介監督の最高傑作だと思っている。
それは、その作品が他に比類なき一本であるからだ。
萩尾望都「トーマの心臓」を翻案(原作としての許可は得られなかったので)したこの映画は、たった4人の登場人物だけで展開する、非常にミニマムな作品である。
しかも全員女性が少年を演じている。
そう、設定こそ「全寮制ギムナジウムに集う少年たち」だが、彼ら(彼女ら)は、どちらでもない、中性的な存在として画面の中に佇んでいる。中村由利子のピアノ曲と相まって、とても透明感のある美しい作品になっている。そんな意欲的な、けれどとても静かな映画。ずっとこの雰囲気に浸っていたくなるような心地のいい空気を感じる。愛(いと)おしき良品である。
じつはこの映画の企画時点、ボクの通っていた大学の保養所をロケに使用させて欲しいというオファーがあった。残念ながら大学側がそれを断ってしまったのだが、もし大学が受けていたら、ひょっとしたらこの舞台が違っていたのかもしれない。
で、なんでボクがそんなことを知っているかというと、当時ボクは在学中でサークルの連合部会の会長をしていて、学生課からその申し出についてちょっと相談を受けたからなのだ。助言としては、別に受けてもいいんじゃないか、みたいなコトを言ったとは思う。
でも、金子監督のそれまでの作品については「みんなあげちゃう」と「宇野鴻一郎の濡れて打つ」は挙げておいたけど。
結果、学生課は断ってしまったみたいだけど、そのときに製作者側から渡っていた資料を「いらないから持ってっていいよ」と譲ってもらった。
だからウチにはこの「1999年の夏休み」の準備稿シナリオがある。
決定稿とはずいぶん違って、犬が重要な役回りで出てきたりして興味深い。もちろんボクの秘蔵のお宝だ。
1999年の夏休み
金子修介 宮島依里 大寶智子
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