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2006年8月11日 (金)

砂の器

[1974年・監督/野村芳太郎■おすすめ度★★★★★ 観ておくべき度★★★★★ 思い入れ度★★★★]

砂の器 デジタルリマスター版 たとえばその人物が超一流の存在ではなくても、時として超一流さえも凌駕してしまうものを創造してしまうときがある。時代やその人物の才能の成熟具合、周囲の環境、などによって。

まさにそれは奇跡の瞬間が生んだ、奇跡の作品となる。

申し訳ないが、野村芳太郎は超一流の監督であるとは云えない。黒澤明や小津安二郎と比べればどうしても一ランクは下がってしまうだろう。(誤解のないよう断っておくが、野村芳太郎はマイ・フェイバリット監督の一人である)

だが、そんな野村が黒澤や小津をも越えてしまった「奇跡の作品」が本作だ。脚本・橋本忍、音楽・芥川也寸志、原作は松本清張。これらの才能が100%の力を発揮し融合したとき、300%にも500%にもなる完璧なものを創造しえた。

映画冒頭からまったくの暗中模索から導入される物語は、進むにつれて時としてムダ足を踏みつつ徐々に真実に近づいてゆく。そして終盤、芥川の交響曲を伴い丹波哲郎・加藤剛・加藤嘉の3つのシークエンスが同時進行しつつクライマックスを迎える。それはあたかも映像のアンサンブルのようにそれぞれの主題がからみ合い、見事なほどのカタルシスにまで到達する。

映画館で上映されるたび、あちこちですすり泣く音が暗い館内に響かないときはない。

考えてみれば、この3シークエンスが同時に進行しているはずがないのだ。だが映画とは時刻表に従って順列するのではなく、編集によって時空を超え感情の昂ぶりを表出させることなのだ。本作はこれを最高の形で見せてくれる。

世界では黒澤・小津・溝口などの作品のほうが上位ランクにくるだろう。日本映画の最高峰なら断然「七人の侍」と答える。

だが、ボクにとって日本映画のオール・タイム・ベストはこの「砂の器」と小林正樹監督の「人間の條件」である。

本編で使用された芥川也寸志の組曲「宿命」は、日本映画史上屈指の名曲だ。

一生のうち、必ず観ておかなければいけない一作。

砂の器 デジタルリマスター版
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松本清張 野村芳太郎 丹波哲郎
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砂の器 サウンドトラックより ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」
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サントラ 東京交響楽団 菅野光亮
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