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2006年8月11日 (金)

旅芸人の記録

[1975年・監督/テオ・アンゲロプロス■おすすめ度★★★ 観ておくべき度★★★★ 思い入れ度★★]

上映時間3時間52分。ほぼ4時間、映画館の椅子に座り続け、眼前の映像を凝視するということはそれだけで「時計じかけのオレンジ」の矯正プログラム並みに途方もない激務だ。もしこれがタルコフスキーの作品なら、その尺を聞いただけで絶望感に苛まれるだろう。

ところが、この「旅芸人の記録」はその尺の長さを苦痛には感じない。

物語の展開は決して派手ではなく、むしろ淡々と、どちらかというとゆったりとしたテンポで進む。時代も戦時を描いてはいるものの、派手な戦闘シーンが展開されるわけでもない。カット割も殆どがほぼ全体を俯瞰ぎみに捉えて、地味。ワンシーン・ワンカットを多用した長回しの連続。各々の登場人物もアップで捉えられることが少なく、ともすると誰が誰だか印象が薄くなってしまう。

なのに、不思議と「飽きる」ことがない。抑えた演出や長回しはリアリズムの希求であり、「リアル」であることが観ている側の眼を画面に惹き込ませてゆく。

ただ、第二次世界大戦前後のギリシャの歴史や、モチーフとなっているギリシャ神話の知識が無いと、この映画の魅力を本当に愉しむことはできないだろう。観賞前に「ギリシャ神話の基礎知識」くらいは予習しておくことが必修項目。

それにしても、初公開は東京・岩波ホールとは…あんなに座り心地の悪い劇場で4時間とは、さぞ苦痛だったことだろうな…

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