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2006年9月 1日 (金)

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

[1969年・監督/石井輝男■おすすめ度★★★★★ 観ておくべき度★★★★★ 思い入れ度★★★★★]

予告編映像リンク間違いなく、日本映画において空前絶後、史上最強のモンド・ムービー。
この作品を一度でも観賞したことのある者なら、その称号を与うるに一片の異論も無いだろう。

いろいろな理由があってソフト化そのものが困難な作品であり、いまだ国内でDVDはおろか、ビデオ化もされていない。(追記:2007年米国でついにDVD化)
だが、それはこの映画にとって決して悲劇ではない。

本作の真の魅力は、映画館という空間でしか堪能することができない。だから映画館へ足を運ぶもの達だけがこの作品の面白さを知っている。選ばれし者のみの味わえる特権の恍惚と快楽である。

殊に今ほど情報の得られぬ時代、本作の面白さは口コミでのみ評判が伝わり、映画ファンの間では噂だった。
ボクも本作については『どうやら奇天烈(キテレツ)な映画らしい』という、どこからかの話を耳にして観に行った。結果、創造を遥かに超えたモノであったのだが。

近年「カルトムービー」という言葉がやたらと軽く使われ嘆かわしいかぎりだが、真のカルトムービーとはこの「奇形人間」のような一本のことを言うのだ。観れば実感、納得する。
観たその日その時から、あなたの人生にはこの「恐怖奇形人間」が纏わりついて離れなくなるだろう。まさにそれが「カルト」=崇拝ということなのだ。

未見のかたは、なるべくなら情報は仕入れずに劇場へ足を運んでほしい。


[以下、どうしてもネタバレを含む内容になりますので注意。内容を知りたくない方は下の区切りまで飛ばしてください]

江戸川乱歩の原作を、原型をほぼ留めないほどに解体しキッチュにリミックスしてしまった石井監督の大胆豪快さ。暗黒舞踏なムーブで「ドクター・モローの島」と似て非なるフリークスの島を創造しようとリブ・フリーキーな土方巽。どう考えてもつじつまの合わぬ展開。行き当たりばったりな登場人物たち。

すべてが畸形的世界だ。

だが、矢継ぎ早に繰り出される毒と毒が混ぜ合わされ、画面からは次第にトランス感が漂ってくる。
これはアシッド・ムービーだ。考えてはいけない。感じるんだ!!

館内の観客たちは、次第に目の前で起こっていることに脳内を冒され、ドーパミンが分泌され幸福感が支配し始める。場内の空気は、何かのきっかけで爆発寸前の状況になっていく。

そしてとうとう明智小五郎の「タマは抜いといたよ」のセリフが引き金となって場内の気持ちが一気に巨きな渦となって同化し、ついにはラストの「おか~さ~ん!!」の絶叫では観客全員の感情の高揚が怒涛の最高潮に到達する。


かつて「少林サッカー」で終劇時に場内から自然と拍手が沸き起こることがあったが、高揚感という点で観ているものたちがここまで一体となって堪能する映画はこの「奇形人間」の他に類がない。

同様の一体感を体感できるものとすれば、「ロッキーホラーショー」が上げられるだろう。米国のレイトショーで観客参加型の独特の形態で上映され、一部のコアなファンから絶大な支持を得ている「ロッキーホラーショー」だが、
(映画「フェーム」でその観方が確認できる)
「恐怖奇形人間」はまさに日本の「ロッキーホラーショー」だろう。
途中中だるみ感のある「ロッキー…」比べれば、観客に与えるアッパー感は「恐怖…」のほうが遥かに凌いでいる、とは思うが。

だが、こうして記述を試みてはいても、いくら言葉を紡いでも本作の魅力は語ることはできない。やはりその目で確かめ、実感するしかないだろう。そして、あなたもこの映画の語り部となって布教に励むのだ!!

「恐怖奇形人間」は、ライブで観賞してこそ200%オモシロさを味わうことのできる映画である。

みんな映画館へ行け! そして観るのだ!!!

[関連記事リンク]クズビデオ49日

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