2006年8月13日 (日)

雲のむこう、約束の場所

[2005年・監督/新海誠■おすすめ度★★★★ 観ておくべき度★★ 思い入れ度★★]

雲のむこう、約束の場所

勿論、新海氏の才能が驚くほどのポテンシャルを秘めていることには全く異論の余地は無い。が、世に衝撃をもって迎えられた前作『ほしのこえ』と比べると、随分とインパクトは小さいかな、と思う。
それは無論ワン・アイデア勝負の短編とストーリーを見せなければならない長編との差もあろうが、今作は彼が『ほしのこえ』でオタク達を'うるるん'とさせた彼独自の『良さ』が、長尺になったことで逆にマイナス要因になってしまっているのではないかなァ、と感じてしまった。

技術的なところで云えば、少々モノローグに頼り過ぎかな、と。やはりシナリオで考えたとき必要なことを語らせるのはダイアローグだと思う。それがモノローグ中心で1時間以上見させられるのは少し辛い。…正直、その演出方法が途中でだんだん鬱陶しくなってきたりも感じてくる。

あと、背景はもの凄くリキが入ってるのに、それと比べるとキャラクターのクオリティが少し目劣りしてしまうのは残念。折角これだけのものを作ったのに、この尺を見せるにはあのキャラでは飽きてしまうかなぁ。
まぁ若いせいもあるけれど多少ひとりよがり気味かも。もうちょっとオトナになって他人の意見を取り入れるようになれればもっともっといい作品が出来るのではないだろうか。

…でも、そんなこんなの苦言の数々を置いといても、常に次回作を期待させるクリエイターであることは間違いはないだろう。

様々な場所で語られているだろうが、新海誠が80~90年代の日本のアニメを踏襲した、正当な後継者であることは事実。悪い見方をすれば本作は「エヴァンゲリオン」フォロワーであり、それが「オネアミスの翼」と押井守作品のバリバリ影響下でそれらをシャッフルして作った作品、というだけのことになってしまうのだが…それを肯定も拒絶もされるだろうけど、わたしは支持する。一応ね。

雲のむこう、約束の場所
新海誠 吉岡秀隆 萩原聖人

雲のむこう、約束の場所
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2006年8月 8日 (火)

時をかける少女(2006)

[2006年・監督/細田守■おすすめ度★★★★★ 観ておくべき度★★★★★ 思い入れ度★★★★★]

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すべての映画監督に当てはまることではないけれど、作り手として、おそらく一生に一回くらいしかつくることのできないrich harvestな一本というものがあると思う。掌中に大切にしまってあったものをそっと示すような、そんな優しくもちょっとほろ苦い味の小品。たとえば大林宣彦「転校生」「さびしんぼう」や相米慎二「翔んだカップル」、アニメ監督なら望月智充「きまぐれオレンジロード・あの日に帰りたい」とか。えてしてそれらは決して映画史的に記録されるほどの評価は得られないけれど、観た者の心にずっと残り続けるような大切なものになっていく。
誰もが心のどこかにだいじにしまっているものを掘り起こし、反芻させ、癒してくれる装置としてのフィクション。

この細田監督の「時かけ」も、そんな大切な一本になっていくような映画なんだと思う。

たぶんボクがまだ20代~30代初めくらいの年齢でこの作品を観たら、きっと自分にとってそんなかけがえのない存在になっただろう。
残念ながらそんな定義づけをしたファイルを開いてこの映画をそこに収うには、ボクは少しだけ歳をとってしまったけれど。

だから、この「時かけ」を観てそう感じたら、大切にして欲しいと思う。

これは観ている側を己れの心の中の過ぎし日々へと'タイムリープ'に誘(いざな)う映画。必見の一本。

時をかける少女 限定版
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時をかける少女 通常版
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